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アドレスを移して、上書き保存。 「メール…何回か、送ってくれたんですか?」 眉を下げる彼に、気にするなと首を振ろうとして…思いついた。 「…うん。毎回エラーで落ち込んだよ」 わざと抑えた声音と、悲しそうな顔を作る。芹生くんの様子を窺えば案の定、気に病んでいるのか唇を噛みしめていて。 これ以上、自分を責めないようにと。慌ててそちらへ向き直る。 「ショックだったのは本当だけど、俺がしつこくしたせいだと思ってたから…今はこうして話せてるんだし、気にしないで」 「で、でも…」 まだ納得出来ない様子の彼に、一か八か切り出してみる。これが本題だ。 「…じゃあ。お詫び、って言ったらズルいかな…何かしてくれたら、それでおあいこ」 おわび…とオウム返しに呟いて。考えを巡らせる様子を見守った。

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