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50.
(エプロン、嫌いなのかな…)
ふい、と目を逸らされた意味が分からなくて少しもやもやする。
取りあえず、料理はきちんとしなければ。
ポタージュ用のそらまめを茹でる傍らで、トマトを切る。オリーブオイルと胡椒で軽く味付けをして、モッツァレラチーズを挟むようにして盛り付け。生ハムとパセリを添えて前菜が完成。予想通りタラゴンなんてものはキッチンに常備していなかったが、まあこのままでも良しとしよう。
「…あくまでもコース風、なので。本格的なお店と比べないでくださいね」
断ってから目の前にお皿を置いて、そそくさとキッチンへ戻った。
複数の料理で使うトマト、ナス、ジャガイモ、にんじん、玉ねぎを全て切り、先ほどのそらまめを剥いて玉ねぎと合わせ、バター、小麦粉で炒める。水を加え、更に加熱。ミキサーで適当なところまで攪拌し、牛乳を入れて塩こしょうで味を調節。
うん、我ながら上手く出来た。本当はヴルテにしたかったけど、それを言っても仕方がないし。
ちらりとダイニングを窺えば、前菜はまだ少し残っている。
よし、次は…
生鮭を取り出し、これも塩こしょうで下味を。クッキングシートに鮭とスライスチーズ、バジル、バターを乗せ、白ワインと醤油を少し掛ける。端を閉じてレンジに入れたまま、まだスイッチは押さない。
「はい、そらまめのポタージュです」
「…芹生くんさ、俺に嘘ついたでしょ?」
内容に合わず、咎める様子のないそれに、目を瞬かせた。
「うそ、ですか…?」
「……いや、何でもない」
そう言い残してスープに手を付けた彼を訝しく思いながら、またキッチンへと戻った。
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