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おかしいな、嘘なんてついた覚えないんだけど………
首を傾げつつも手は止めないように。
全て出し終わってから、ちゃんと聞こう。
前菜、スープ、と来たら次はサラダ。だけど、個人的にサラダを出すのは嫌だったから、代わりになるものを。
切っておいたトマトとナス、それに少しにんにくを加えてこれもオリーブオイルで炒める。弱火で加熱しながら、次に使う豚肉を取り出した。
良い頃合になったらコンソメと缶のミートソースを混ぜて、野菜が摂れるラタトゥイユに。
「ミートソースは作れなかったですけど、ナスとトマトのラタトゥイユになります」
「ああ、その舌噛みそうな料理…」
くすりと笑ってスープ皿を渡してくれるルイさんに頭を下げて。
鮭をセットしておいたレンジのスイッチを入れ、常温に戻した豚肉にマスタードをまぶす。彼はきっと甘党だから、あまり多すぎないように。
これは中火でこんがり焼いて、またもやみじん切りにした玉ねぎの出番だ。白ワインを加えてソースと煮詰め、塩で味を整える。
デザートのためにレンジを余熱設定して、ダイニングへ向かった。
「魚料理、肉料理と続きますからね」
レンジから取り出した鮭のパピヨットを目の前に置くと、案の定こう聞かれた。
「……どうやって食べれば?」
「ふふ…ナイフで閉じ目を切って、開いてみてください」
小首を傾げる仕草を可愛いと思いつつ、答えて見守る。
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