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クッキングシートを切った瞬間、ふわりと立ち昇る良い香り。中から現れた鮭に驚きつつも、チーズとバター醤油が奏でる匂いに頬を緩めたのが分かった。 バジルも彩りとしては優秀だったし、何より彼のとろけたような表情が見れたから。俺としては大満足だ。 最後は、フルーツとデザートの役割を兼ねたひと品。 ビターチョコレートとバターを湯せんし、そこに粉砂糖と小麦粉を加える。卵を割り入れたらよくかき混ぜて、耐熱性の小さい容器に流し込む。表面が落ち着いてから机に軽く打ち付け、空気を抜いてオーブンへ。 そう、フォンダンショコラだ。切った時に中のチョコレートが上手く溶け出してくれれば、と願いつつスイッチを入れた。 豚肉の入ったフライパンを再び温め直し、皿に盛り付ける。 「豚肉のマスタード焼き、です」 「じゃあこれの次はデザートかな?」 スーパーでの会話を思い出したのか、細められた目は期待に満ちていて。 「…はい、とっておきの物を用意してますから」 チョコレートが好きな、貴方のために。

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