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生地の真ん中がへこみ、粗熱が取れたことを確認してそっと容器から取り出す。真っ白な皿に置き、粉砂糖を振るって周りにはブルーベリーの実とソースを。 これは自分でも食べたくて、余分に作ってある。 ダイニングの様子を窺って、そっと息を吐く。量より質を大事にしたかったのは事実だ。美味しい、と思えるものを食べてもらいたい。 でも、本当は。 一度に全て出せば、食べ終わるまで手持ち無沙汰になる。長い間キッチンに篭るのも不自然だし、必然的に同席することは目に見えていて。 (いや、無理だろ…) 自分の作った料理を、あんな綺麗な人が食べてくれている。それだけでもう充分嬉しいのに、間近で見たらきっと…恥ずかしさでどうにかなってしまうから。 ふるりと頭を振って、デザートを手に彼の元へ向かった。 「あ、これ…」 「はい。フォンダンショコラ、です」

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