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77.
開店前のホストクラブに入らせてもらうなんて、一生にそう何度もないだろう。
きょろきょろと周りを見回す俺の手を引いて、部屋の端に置かれた椅子へ向かうルイさん。どことなく表情が硬い気もするけれど…。
「取りあえず、ここで見ててくれるかな?何かあれば俺のこと捕まえて」
……捕まえて、と言われても。
「ルイさん忙しいだろうし、それは申し訳ないですよ…」
きっと困った顔になってしまっている。見られたくなくて俯くと、ぽんと頭を撫でられた。
「…そう言うと思って、頼んであるから」
意味が分からずに、見上げると。ルイさんに手招かれた男性が近寄ってくる。
「あ、この子ですか?」
「うん、そう。よろしくね」
へらりと笑ったその男性は、俺と同じ高さまで目線を合わせてくれた。
「初めまして!俺、翔 って言います。今日は君のお世話、ルイさんに頼まれてるんだ。ちょっとの間だけど、よろしくな~」
人懐っこい笑顔に、緊張も解れる。軽く頭を下げて挨拶をした。
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