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86.
あれから一週間。楓くんとは、全く連絡を取っていない。
きっと、翔と宜しくしているのだろう。考えたくもなくて、目を伏せた。
「ちょっと、ルイ!本当に大丈夫?」
店では普通にしているつもりでも、やっぱりリンさんにはバレてしまって。しつこく理由を聞かれたのは記憶に新しい。
俺の問題だから、と何も答えなかったけれど。
生まれて初めての感覚だった。今までそれなりの人数と付き合って、別れて。その度に『こんなものか』と振り返ることができた。それなのに。
付き合う以前の、友達を失っただけで。
こんなにも自分がダメになると思わなかった。
何かに打ち込んでいないと、どうにかなってしまいそうな、何もしたくないような。上手く息が吸えない。
あの日からずっと―――心に穴が開いたまま。
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