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目の前の彼は…そう、細田くん。落ち着いて見えるものの、瞳を見れば紛れもない憤りが窺える。 何を怒りにわざわざ店まで来たのか。全く見当もつかない。 「…電話もメールも、無視ですか」 申し訳ないけれど、細田くんの連絡先も削除させてもらった。いつどこで、仲良しの彼と繋がってしまうか分からないから。登録していない番号からの電話は出ないし、メールも拒否リストに回すよう設定してある。 「もう、俺には関わる理由がない」 友達では居られるだろう、と弱い俺が囁くのをどうにか振り切って決断した。彼の幸せそうな顔を近くで見ていられる自信なんて、ない。 「はは…そんなに勝手な人だとは思いませんでした。お役御免って訳かよ」 お役御免は俺の方だ。翔のことはまだ良く分からないが、きっと大事にしてもらえる。彼はあんなに素敵な人なんだから。 「…取りあえず、これ」 乱暴に突き出された紙には、見慣れた病院名と号室。理由も分からないまま、勢いに押されて受け取る形になってしまう。 「あいつ…そこに居ますから」 ―――誰が?まさか、 「入院………?」 「倒れたらしいですよ。詳しくは直接聞いてください」 俺を睨む双眸が、ふっと翳る。一度瞬きをした彼は小さな声で付け足した。 「それと、あの日。ハルさんとは何もなかったみたいですから」

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