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栄養失調と貧血、睡眠不足が引き起こした熱中症による軽度の自律神経失調症。 これが俺の現状だそうで。 "ひとつひとつは大したことがなくても、積み重なるとこうやって入院沙汰になるからね?"と。お医者さんに諭されて頭を下げた。 あとは家族と、迷惑を掛けたサークルの仲間にも謝って。みんな大げさな程に心配してくれたから、却って申し訳ない。 着替えを置いた母親が帰って、一人になる。この病室は3人部屋で、1人は昨日退院したとのこと。もう1人の入院は明後日になるらしい。 というわけで、臨時の個人病室のような扱いになっている。静かな場所でゆっくりできてほっとする反面、話し相手が居なくて少し寂しくも思う。 読みかけの小説を開いた時、ノックが聞こえて。母さん、忘れ物かな?なんて呑気に返事をした。 「…こんにちは」 驚きすぎると、人は声も出なくなるのだろうか。 ただ口を開閉させるだけの俺に苦笑して、ゆっくり近寄ってくる―――ルイ、さん。 お見舞い、と。サイドテーブルに置かれた紙袋を眺めて、逃げ場のない状況に頭を抱えたくなった。 所在無さげに佇む彼に、取りあえず椅子を勧めて。布団の上で握った手に視線を落とす。 「……体調、どう?」 「だいぶ落ち着きました。ありがとうございます」 顔を上げられない。わざわざこんな所まで何をしに来たのか、いくら考えても答えが出ることはなかった。 「細田くんから、君が倒れたって聞いて………本当に、申し訳ない…」 用済みになった相手にもこうして毎回謝っているのだろうか、この人は。律儀にもほどがある。 「…もう良いですよ、俺がバカでした」 「そっか…普通、そう思うよね」 ふっと自嘲の笑みを漏らすと、応える声は酷く落胆したもので。思わずそちらを見やって、後悔した。 (――何で、貴方が傷ついた顔してるんですか) 「……今から全部、俺の独り言だから」 見つめた視線を逸らして、ぽつりと呟く彼の真意が読めない。

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