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一瞬、何を言われたか分からなかった。 どこか遠いところから聞こえたその言葉。 誰が、何を――? 「え…な、なん………」 握られた手を見下ろして、ルイさんの顔をぽかんと眺めた。 「言っておくけど、友達として…じゃないから」 ようやく落ち着いた頃、気づいた。重なった手のひらが少し震えていることに。 反対の手で覆って、ちらりと視線を投げれば揺れている瞳。 「…ねえ、ズルいこと。聞いてもいいかな」 次は何だ、と身構えて。スッと細まる双眸を見つめた。 「ハルと俺…どっちが好き?」 『…俺じゃなくて、ルイだったら?』 ふと、脳裏に蘇る声。あの日、感じたことを言っても良いだろうか。 「…ああいうこと、になった時。ハルさんは違うと思ったんです。でも…ルイさんに置き換えて、っていうのもまだ考えられなくて…」 失礼な話だけれども。顔が綺麗だから、ドキドキしているだけかもしれない。『好き』の種類と重さが違って、傷つく人は周りに何人もいた。だから、俺は自分自身の気持ちをきちんと見定めたいと思う。 「そっか…"まだ"、ね……今はそれで充分か」 ぽんと頭に乗った手は、もう震えていなかった。

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