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翌朝。歯を磨きながらふと思いついた。 家を出て、電車に乗りながらメール画面を開く。 『おはようございます。 昨日は本当に楽しかったです。 お土産もありがとうございました。 イルカにはルイさん、カピバラには三井さんって名前を付けたんですけど…理由は言わないでおきますね。 今日もお仕事頑張ってください。』 昼休みになって。食堂で細田と話をしていると、スマホが震えた。 『こちらこそ。水族館は久しぶりだったけど、楓くんと一緒だったから楽しかったです。 本当はクラゲのぬいぐるみをあげようと思ったんだけど、やめておいて正解だったかな… 残りの授業もちゃんと受けるんだよ。』 理由を伏せた俺へのお返しか、こちらも答えが語られない真ん中の文章。 クラゲコーナーで突然笑い出した姿を思い出す。思い当たる可能性は―――… 「なあ細田。俺ってクラゲっぽい?」 「はぁ?」 ラーメンをすする目の前の彼に問いかければ、不思議そうにしながらもこくりと頷く。 「じゃあ、み……ルイさんは、イルカとカピバラどっちのイメージ?」 「そんなん間違いなくイルカだろ」 こしょうを振り入れながら断言する姿に笑って目を伏せた。 友達になる前は、賢くて綺麗で仕事のできるスタイリッシュな印象だった三井さん。もちろん今もそれは健在だけれど。 ちょっとしたことで拗ねたり、予想外の出来事に慌てたり。実はのんびりするのが好きだと知って。 貰い受けた2匹のぬいぐるみに、迷わずそれぞれの名前を付けた。

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