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泡を食った様子のハルから連絡を受けて、家を飛び出したのが数分前。 悪戯でこんなことを言うような奴じゃない。ましてや楓くんに関してはなおさら。 聞かされた住所は、同じ新宿でもあまり立ち入らない場所。そこは暴力団関係者やヤクザの多い土地として有名で。 楓くんがそんな所に関わる理由は1つしかない。 (俺の、せいだ…) ハンドルに拳を打ち付けて歯噛みした。 予想通りシャッターは締め切られていて。合流したハルと建物の周りを捜索する。はるか頭上に、一つだけカーテンのされていない窓を見つけた。散らばるコンテナを積み重ね、2人で覗くと。 「っ…やっぱり……!」 ハルが唸る。床に横たわる楓くんへと容赦なく暴力を浴びせる男達。少し離れた所には見覚えのある姿が。 「…あれ、ミカだよな」 少し雰囲気が変わったものの、間違いない。呟くハルに同意し、そのまま窓ガラスを割って入ろうとしたが慌てて止められる。 「待てって!無闇に突入してもしらばっくれそうだし…写メ撮らせろ」 ごそごそと取り出したスマホで何枚か撮影し、コンテナの下へ飛び降りた。 「石、投げるから。ぶつかったら許せ」 言われて横にずれる。運動神経の良いハルのことだ、そんな事態にはならないだろう。弧を描いた石は見事に窓ガラスの真ん中を打ち抜いて。 開いた隙間から中へ飛び込んだ。全員の視線が一瞬にして集まるが、俺は楓くんしか目に入らなかった。 駆け寄って体を抱き起こす。服の上からだと計り知れないが、滲んだ血の量からしてきっと体中に怪我を負っていることだろう。幸いにも顔には赤い筋が1本刻まれているだけで、震える息を吐き出した。 意識がないのか呼んでも目は固く閉じられたまま。呼吸をしていると確認して、ようやくあたりを見回す余裕ができた。 「よっ、と…大丈夫か!?」 遅れて中に入ってきたハルが走ってくるのを見て、楓くんを預ける。 3人の男達はただ呆然と突っ立っているだけ。元凶の彼女へ近づけば、そろりと後ずさりして。

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