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緊張の糸が切れたのか、再び昏睡状態に陥った楓くんを車に乗せて。 リンさんへと連絡を入れ終わったハルがため息をつく。 「俺がたまたま見かけたから良かったものの…。まーお前も変な客に付かれて…これでもう平気だと思いてぇな」 「…最後に気になること言ってたけど」 自分だけではない、と。 それはまるで黒幕は別に存在するかのような言い回しで。ちらりと後ろの様子を窺ったハルが剣呑な表情で目を細める。 「…目星はついてんの?」 低く呟かれたそれに、黙って頷く。確証はないけれど―――… 何も言わずに出迎えてくれたリンさんに感謝して、奥の仮眠室に向かった。 救急箱と湯、それにたくさんの布が用意されていて思わずリンさんの顔を見る。 「ん?このくらいは常備してあるわよ」 緩く微笑んだ彼の指示で腕や足の傷を手当していく。服の上からだったのが幸いして、青痣や打撲痕は多いものの出血は少なかった。 「意識がなくて良かったわ、痛みもあまり感じないだろうし。飲み物と薬持ってくるから、様子見ててちょうだい」 そう言い置いて給湯室へと消えたリンさん。 「…こりゃまた飲みに付き合わされるかな」 ひと段落ついてほっとした様子のハルが悪戯っぽく笑う。肩を竦めて受け流し、楓くんの手を握った。

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