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131.
「…で、そいつが黒幕だって踏んでんの?」
目の前で寿司を頬張るハルに頷く。
「ふうん……なるほどな。それ芹生くんに伝えてやった?」
「……音信不通」
「ありゃ…」
ため息をついてえんがわに手を伸ばす。電話も出てくれない、メールの返信もない。これ以上どうすれば良いのか分からなかった。
「…会いに行ってみたら?」
ガリを皿に盛る様子を見つめて、考える。目を伏せる俺へ続けられた言葉。
「それでも無理なら俺が何とかするよ」
皿からハルに目を移して、首を縦に振った。
楓くんの大学に来るのは久しぶりな気がする。あてもなく歩くのは時間の無駄だと、スマホを取り出した。
『細田くん、突然ごめん。芹生くんって今どこに居るか分かる?』
『お久しぶりです!あいつなら次の教室に移動しましたよ』
すぐに返ってきたメッセージと、教室の番号に感謝してそちらに足を向けた。
目当ての教室に辿りついて、中を覗くと。1人の女子と連れ立って出てくる楓くん。慌てて柱の陰に身を隠し、少し迷って後をつけることに。
(これは…もしかすると……)
予想通り、人気のない場所まで移動した彼らの雰囲気は俺もよく知るもので。
「あー…ええと、いつも仲良くしてるし、急にこんなこと言われても…って感じだろうけど」
そう前置きした彼女が小さく息を吸って。
「…あのね、芹生くんのことが好き、です」
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