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136.
「お待たせー、これで合ってる?」
「はい、ありがとうございます」
目の前へ置かれたカフェオレに頬を緩める。立ち上る湯気を見ながら、ふとルイさんの家で飲んだことを思い出した。
「…ん?どうかした?」
「あ…ええと、」
どこまで話して良いのか悩んで、一度口をつぐむ。
「ルイさんとも、カフェオレ飲んだなーって思い出して…」
結局当たり障りないように告げてから曖昧に微笑んだ。
「ふうん…そういや、ルイさんとはどこで知り合ったの?」
「俺が歌舞伎町のコンビニでバイトしてた時に、よく通ってくれて…そこから仲良くなりました」
答えてカフェオレをひと口啜ると、仄かな甘さが広がった。
「翔さん、これ砂糖入れてくれたんですね」
「…え?あ、あぁ…適当に入れたけど平気?」
頷きかけて、やっぱりもう少し甘い方が良いと考え直した。角のコーナーから砂糖を取って来ようと腰を上げた瞬間。
(な、何…だ、これ……)
全身が鉛のように重い。それを自覚した途端、抗い難い眠気が襲ってきて。
まさか、と思い当たる節はひとつしかない。
最後の気力を振り絞って、目の前の双眸を見据えた。眉を下げて笑う彼にゆっくり頭を撫でられ。
眠気を増長させるそれに負け、意識を手放す直前。
「…本当に、違う形で出会いたかったな」
空気に溶けるような呟きが、聞こえた。
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