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137.
どうしても今日出掛けたいという客に付き合って、こんな時間になってしまった。
彼女を見送ってからスマホを取り出す。ハルからは何も連絡がない。
やはり取り越し苦労だったのか、と安堵しかけたその時。
「…っ、もしもし?」
『ルイか?芹生くんが眠らされた!多分このままどっかに連れ去る気だと思う…場所突き止めたらまた連絡する!』
切羽詰まった声のハルに応えて電話を切った。自分の見立てが正しかったことにほっとする反面、少し悲しくもあった。曲がりなりにも同じ店で働いてきた仲間だ。
まあ、そう思っていたのは俺だけかもしれないが。
駆け付けた場所は、どうも見覚えのある景色に囲まれた廃ビル。
「ルイ!」
ビルの後ろから出てきたハルに近寄ると無言で首を振った。
「この前と違ってカーテンどこも開いてねえ…どうする?」
「この前………」
記憶を手繰って、思い出した。ここは以前ミカと対峙した場所だ。
あの時割ったガラス窓も元通り修繕されていて。
前回と違って証拠を入手していない以上、無闇に突入するのはマズい。敷地内侵入や器物破損で、下手をしたらこちらが不利になってしまう。
頭をかきむしるハルを前に、思わず拳を握った。
―――瞬間、
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