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「……お疲れさん」 万感の思いを込めて掛けられた労いの言葉。力なく頷いて、ベッドの傍に近寄る。 翔と会う約束をした、と。まずハルに連絡したことは正直落ち込んだけれど。そんな俺の些末な気持ちよりも、彼を助ける方が大事だと考え直した。 「あー…取りあえず、ここ出るか」 冷静になると、横たわる楓くんの姿は目に毒だ。ハルのジャケットの上から自分のそれも掛けてやり、抱き起こそうとした瞬間。 「…ぃ、た……」 小さく漏れた声に、思わず顔を覗き込む。動かした振動で意識が戻ったのか、ぼんやりと焦点の合わない瞳を見つめる。 「ひ……っ、いや、だ…離せ…!」 予想以上の力で腕の中から逃れようともがく彼に驚いて、同時に唇を噛んだ。 何となく想像していたものの、やはりここまで怯えるようなことをされたと考えるだけで、自分を殴ってやりたくなった。 「芹生くん!大丈夫だから、な?」 ハルの制止も聞こえないのか、ますます暴れるばかり。握った拳と強く閉じられた瞼に心臓を締めつけられる思いで、強くかき抱いた。 「楓くん…目、開けて」 なんとか絞り出した声が届いたのか、僅かに弱まる動き。背中を撫でて、再び顔を覗き込む。 「…俺のこと、見える?」 ゆるゆると上げられた瞼。現れた瞳は涙で濡れていて。段々とはっきりしていく視線に安堵しながら、額を合わせた。 「みつ、い……さん…」 こぼれ落ちる言葉を聞いて、肺が空になるほど深く息を吐き出した。 「ごめん…本当に、ごめん………っ」 肩口に額を押し付けて、何度も繰り返す。そのうちに、少しぎこちない手付きで後頭部を撫でられていることに気がついた。 「どうして、ここに…?」 声の震えを感じ取って、顔を上げる。

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