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10月に入って数日。 この前のお礼がしたい、と楓くんからの誘いを受けて出掛けることになった。 お礼どころかお詫びをしなければいけない立場にあるのだけれど、それはそれとして楽しみだ。 「すみません、お待たせしました!」 走り寄ってきた彼に手を挙げて応える。出会った頃より髪が伸びたと目を細めつつ、言葉に耳を傾けた。 「でも本当に良いんですか?俺の行きたい所ばっかりで…」 「うん、大丈夫。気にせず楽しんで」 頭を撫でるのも久しぶりだと穏やかに考える。 あの一件があって、俺は彼への見方を変えることにした。 俺が楓くんを好きになってしまったから。 恋愛感情を抱いたせいで、あんな目に遭ったのだから。 護る、と決めた。もう誰にも傷付けさせない。 そのためには"友達"で居るべきだ。 一番近くで見守るのが細田くんだとしたら、二番目でも。 ただ良き理解者でいることに努めよう。 そうすればきっと……平穏な日々が訪れる。 「映画、すごかったですね…!」 「前評判よりも面白かった気がするよ」 興奮気味に感想を語る彼を横目で見ながら、改めて決意した。

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