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玄関を覗いて、気配を確認する。袋の中にそろりと手を伸ばした。 本の背表紙を床に付けて、手を離す。自然に開かれたページを見た瞬間、思わず目を疑った。 (え、…これ…) 白く滑らかな背中を惜しげもなく晒して、こちらを仰ぎ見る人物。 女性にしては短い髪と、何より振り向くその表情はひどく中性的で。一見すると少年にも間違えられそうだ。 その、面差しが。知っているものと良く似ている。 生まれてからずっと二十年間、鏡で見続けてきた―――俺の、顔。 瓜二つのそれを指でなぞって、目元の泣きぼくろに気付いた。違う特徴にほっとしている自分に苦笑しつつ、本を戻す。 (別人だって分かってても、なぁ……) ため息をつく俺をじっと眺めていたミウちゃんが一声。 ケーブルを回収して、そっと抱き上げる。 リビングに帰る足取りが重くなったのを自覚しながら、ふわふわした毛に顔をうずめた。

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