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彼から何も音沙汰のないまま、1ヵ月が過ぎようとしていた。 連絡しようと思ったし、人伝いに様子を聞こうとも考えたけれど。 傷つけてしまったのは間違いなく俺だから。 きっと、そんな資格なんて無い。 「ルイ~!最近たくさん会えるから嬉しいな~」 しなだれかかってくる女性に微笑めば、気を良くしたのかボトルを卸してくれるらしい。 正直あまり飲みたくはなかったが、これも仕事だと考え直した。 あの日を境に、今までとは打って変わって仕事人間になった俺を見たオーナーは、まるで人が違うようだなと苦笑をひとつ。 この調子でクリスマスも期待してるぞ、と肩を叩かれて頷いたのは昨日の話。 今は、仕事で頭を一杯にしておきたかった。 ―――他のことは何も考えたくない。

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