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除夜の鐘を聞きながらカウントダウンのテレビ番組を見て。久しぶりに家族で過ごす年越しは楽しかった。 初日の出に目を細めながら、紫煙を吐く。 天気とは裏腹にどこか晴れない気持ちを抱えたまま。原因は分かっているけれど。 (……離れてみれば、と思ったのにな) 短くなったタバコを灰皿に押しつけて、寒さに肩を竦めた。スマホを取り出せば数件のメッセージ。 何気なしにスクロールする指が、止まる。 『明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします』 彼にしてはめずらしく、可愛らしい干支の絵文字が付いたそのメール。なんてことはない挨拶なのに、温りの宿った指先を自覚して。 (…やっぱり、ダメだ) 俺の心を動かすのは、楓くんだけなんだと。 スマホを見つめること数秒。意を決して、画面に指を走らせた。

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