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「お久しぶりです…」 頭をあげた後もしばらく相手を直視できなくて。 「…うん、いらっしゃい」 柔らかい声よりも、気になるのはやっぱりその面差し。時間を空けるとより際立つ端正な造りを改めて再確認させられた。 手を洗ってソファーに座る。寄ってきたミウちゃんを抱き上げて、もふもふを思う存分堪能していると。 「…少し痩せた?」 するりと頬を撫でられて、思わず身体を強ばらせてしまう。跳ねた肩を見咎めたのか、戻される手と共に謝罪の言葉。 「あ…ごめん」 正月太りの話を始めて、ふと気付く。そうだ、こっちが本題。 「え、と…誕生日、おめでとうございます」 持参した紙袋を渡しながら、プレゼントですと告げれば。一瞬驚いて、それからふわりと笑った三井さんの表情。それはそれは嬉しそうに頬を緩めるから。 (…うん、良かった) この顔を見られただけで、もう役目を終えた気分になる。自然と口元が綻ぶのを感じた。 「出前のメニュー持ってくるから、待ってて」 やっぱり好きだと、思う。 自分とは不釣り合いなんて百も承知だけれど。 頷いて、ミウちゃんの背中に顔をうずめた。

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