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オープンキッチンに入って、思わずため息をついた。 (これは…ハル呼んどいて正解…) 出前のメニューを探す手が止まる。 少しやつれたように思う。気づけばつい触れていた、(すべ)らかな頬。僅かな震えに気付かないはずもなく。 (…好きな人と上手く行ってるから、嫌だったのかも) 可愛らしい女の子と並ぶ彼を想像して、浮かべた笑みは酷く自虐的だ。 あのこそばゆい空間に戻るのを躊躇いながら、敢えてゆっくりと歩みを進めた。 「――すき…、だなぁ……」 背中で呟きを受けたミウが、こちらを見やる。 (分かってるよ、だからそんな顔しないで) 思わずメニューを握る手に力が入りそうになった、瞬間。 「……にゃおん」 一声あげて拘束を解くとこちらに向かってくるミウ。屈んで抱きかかえれば、動きを追った彼の視線が絡む。 「…お待たせ」 何事も無かったかのように近寄り、メニューを渡す。上手く表情を作れているように願って。 (もしかしたら…) 呼ばれて、迷惑だっただろうか。 口を開きかけたものの、問うにはあまりにも女々しいと思い直した。 ちょうどその時、鳴り響いたチャイム。

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