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腕から逃れたミウちゃんが歩み寄る先を見て、どきりと心臓が跳ねる。 もしかして、聞かれてしまっただろうか。 「…お待たせ」 ひやひやする俺をよそに、別段変わった様子のない三井さん。杞憂だったことにほっとして、メニューを受け取った。 響いたチャイムの音に顔を上げる。 しばらくして玄関から聞こえてきた声は、馴染みのあるそれで。 「おー芹生くん、久しぶりだな!」 「ハルさん…」 ぽかんとする俺を不思議に思ったのか、首を傾げる彼。そのまま隣に腰を下ろして。 「ハルだけ?」 「あー…いや、細田くんも後から来るってさ」 問われて答える、その様子にどこか違和感を覚えたが思い当たる節もなく。 ともあれ、呼ばれたのは俺だけではなかった。その事実にひどく落ち込むのは仕方ない。 変に期待してしまった自分が恥ずかしくて、ぎゅっと唇を噛んだ。

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