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細田くんが合流して数時間。 「そういえばルイさん、おいくつになるんですか?」 余ったピザを手に取りながら聞かれて一瞬考え込んでしまう。 「うーん…27、かな……?」 「お前も年取ったかぁ~!ははっ」 既に出来上がっているハルを横目で見やって苦笑い。目の前の2人も同じ表情を浮かべている。 「なールイ…ハタチだった時ってさ~…どんな恋愛、してた?」 チューハイを片手に首を傾げる、その瞳を見て思わず笑ってしまいそうになった。 (全くもう……) 策士なのか、単に興味があるのかは知らないけれど。少しくらい良いかと考えて口を開く。 「そうだなぁ…結婚まで考えてた相手が、居たよ」 「ひえー…!ルイさんすげー!」 振動でピザから落ちたトマトを拾う。 ずっと黙り込んでいる楓くんは、何を思っただろうか。 「…ん、俺そろそろバイトなんでおいとましますね」 ピザをくわえながら時計に目をやる細田くん。確かにそろそろ良い時間だと頷く。 「すみません、お邪魔しました。…あと、ハルさん」 コートを小脇に抱えた彼の手が、俺の隣に伸びて。 「……あんまり飲みすぎないように」 くしゃりと乱された髪と、原因の張本人を交互に見やる。静かに目を伏せるハルの様子は今までに見たことのないもので。 2人の間にただならぬ何かを感じながら、その背を眺めた。

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