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171.
細田が去った後、残された3人。
「んで?芹生くんは~?」
「な、何がですか…」
がっしりと肩を組まれて僅かに仰け反る。目を細めるハルさんは、相当酔っているようで。
「だからぁ…恋愛事情ってやつ~!」
よいしょ、とビールに手を伸ばす彼をぼんやり眺めた。
「…もうずっと、片想いですね」
「へえ、芹生くんぐらいの良い男だったらー…すーぐ両想いになりそうなのに~?」
「いや…俺なんてそんな…」
言わせてもらえばハルさんの方がよっぽど良い男だ。もっとも今は、下がった目尻を染める可愛らしい姿ではあるけれど。
「…どんな人?」
「え……」
それまで黙っていた三井さんが、おもむろに口を開いた。頬杖をついてこちらを見つめる瞳が微かに揺れて。
隣のハルさんにつつかれながら、手元に視線を落とす。
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