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散らかした机を片付け終わって、ミウちゃんと戯れる。ふと思い出すのはさっきの言葉。 『結婚まで考えてた相手が、居たよ』 正直、意外だった。 彼にそういう考えがあったことも、結婚まで至らなかったことも。 ため息をつきそうになった時、玄関から扉の開く音が。 「後片付け、任せてごめん」 部屋を見渡して苦笑いする彼に首を振って、立ち上がった。 「……さっき、言ってた人とは」 「うん?」 「結婚、しなかったんですね」 呟きを拾って、一瞬驚いたような表情を見せる三井さん。 「あー…振られちゃって」 それからあっという間にこんな歳だ、とぼやく姿はどこか憐憫を誘うもので。 「美人だったし、俺じゃなくても引く手あまただよ…きっと」 「…今は、居ないんですか?付き合ってる人」 何気ないふりを装って問いかけながら、靴を履く。機会があれば聞こうと思っていた、というのも変な話だけれど。まだ自分を好きか訊ねるよりは気が楽だった。 「そうだね、今は独り。ミウが恋人って感じかな」 穏やかな彼の言葉にひどく安心して。思わず緩んでしまった頬を引き締めながら向き直る。少し迷って、思うままを口にした。 「三井さんは…今まで俺が出会ってきた中で、一番素敵な人ですよ」 言ってしまってから猛烈な恥ずかしさに襲われて、そそくさとドアを開ける。 「…すみません、お邪魔しまし―――っ、!?」

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