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自分とは住む世界が違うと思った。 これ以上、惹かれる前に―――… 何度そう考えただろう。 今となってはもう、無駄な努力でしかないけれど。 日に日に募る想いを持て余していた、ある日の夕方。 『……と、言うわけで、今日は華の歌舞伎町にやって参りました!』 付けっぱなしのテレビから流れ出す声に、思わず箸を止める。 『休日ということもあって大勢の方が歩いていらっしゃいますね~』 こちらのお店です、とリポーターが仰ぐ場所は。 「……えっ」 俺も何度か訪れた、そう――― 『ようこそ、Grand Jewelへ』 ずらりと並ぶキャスト達。オーナーの次に進み出たのは。 『…初めまして、ルイと申します。以後お見知りおきを』 まるで執事のような立ち居振る舞い。しかし彼にしてみたら何の違和感もなく。 やはりと言うべきか、僅かに頬を染めた女性リポーターを柔らかく見つめる亜麻色の瞳。 痛む胸を感じながら、静かに箸を置いた。

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