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「お兄ちゃん、どしたの?」
心配そうな一対の目。何でもないよと笑って水を飲む。
『…それでは、こちらのオーナーでいらっしゃる直人さんと、連続ナンバーワンに輝くルイさんにお話を伺いたいと思います!』
やや高揚したリポーターの声にため息をついて、リモコンに手を伸ばした。
「…チャンネル変えるよ?」
「え、やだ!」
珍しくはっきり意思表示をする次女に驚いて凝視してしまう。はっと口を覆った彼女は、ややあって恥ずかしそうにこう告げた。
「……左の人、かっこいい…」
画面の中ではリポーターに質問されて笑うルイさん。
「…うん、そうだね。じゃあこのままにしておこうか」
「ありがとうお兄ちゃん!」
はにかむ表情は可愛いけれど、それは必然的に俺もこの番組を見なければいけないということで。テレビが目に入る位置に座った自分を恨んだ。
『…はい、ここまではお店のコンセプトについて聞かせて頂きました。次はルイさん個人を少し掘り下げていきます!きっとお茶の間の皆さんも気になっているのではないでしょうか?…ということで、よろしくお願いします』
『何だかハードルが高い気もしますが…よろしくお願いします』
困ったように笑う、その表情に惹かれる視聴者が何人いるだろうか。
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