フリップに付いたシールを剥がしながら説明するリポーター。 『身長182センチのO型、年齢は27歳ということで…お間違いないでしょうか？』 『はい、何日か前に誕生日を迎えて27歳になりました』 『…あれ、ルイ。体重は？』 隣のオーナーが声を掛けると若干目を泳がせた後、少し小さい声でこう告げた。 『体重は……最近太ったので、内緒にしておきます』 口元に指を当てる仕草に湧いた黄色い声は、スタジオのものだろうか。まるでアイドルだとぼんやり眺める。 『…さて、そんなルイさんですが。ご自宅に猫ちゃんがいらっしゃるということで…こちらが写真になります』 『とても賢くて可愛い子なので癒されてます。今は恋人代わりですかね』 ふ、と笑うルイさんから目を離した。食い入るように画面を見つめる次女を、呆れたように眺める長女と視線が絡む。 『なるほど…ということは現在、特定の女性とはお付き合いしていないということですか？』 『そうですね。…最近失恋してしまったので』 『えぇ、びっくりしました…！』 仰け反るキャスターに同意する。ルイさんを振るなんてよっぽどの女性だ。 病室で好きだと言ってくれた後、新しい恋愛をしたのかと考えて。 (…かなり時間も経ったし) それに、あれだけの人だ。周囲が放っておくはずもない。けれど。 少なくとも、もう俺には気が無いと突きつけられるのはさすがに辛かった。