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「…それで、話って?」 ひとしきり料理を堪能した後。傾けられた面差しを見て、ふと視線を落とす。 「あんまり…歓迎されないのは分かってるんです、けど」 一晩考えたって上手い台詞が思い浮かぶ訳もなく。感じるままを伝えようと決めた。 「……俺、は。三井さんが…好きです」 動揺する気配がない。そろりと視線を上げれば、複雑な表情でこちらを見つめる姿。 「…ありがとう。嬉しいよ」 ややあってゆっくり落とされた感謝と、その先に続く言葉は容易に想像がついた。 「でも……君を幸せに出来る相手は、きっと俺じゃない」 どこか諦めを含んだそれに、脳天を殴られたような衝撃を受ける。 バイト先の本屋で男子高生が話していたこと。テレビ番組で三井さんが話していたこと。 走馬灯のように駆け巡る中で、たった1つ分かったのは。 (…やっぱり、俺のことじゃなかったんだ) 少なくとも目の前の彼は前へ進もうとしている。未練がましい自分を厭いつつ、それでも口を開いた。 「……友達として、だったら。今まで通りに接してくれますか」 テレビ出演もさることながら、住む世界が違う現実は嫌というほど突きつけられた。だからといって、そう簡単に離れるなんて出来ない。 近くに居れば辛くなるのは分かりきっている。 けれど。

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