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随分と長く感じた1月が終わり、2月を迎えた。 ルイさんとは友達のままだけれど、それでもやはり傍に居られるのは嬉しい。まだ好意を持っているというのも、きっと原因のひとつだろう。 「車停めるから、先に上がってて」 運転席の彼から鍵を受け取り、車を降りた。 なんとなくぼんやりした関係だと分かってはいる。曖昧な現状に満足しているわけではない、が。 (下手に動いて嫌われるよりは…なぁ) 抱えた食料品の袋を落とさないようにエレベーターへ乗り込んだ。慣れた通路を進む、その先。 (……え?) ドアの前に佇む1人の女性。腕時計を眺めてため息を吐く姿に、思わず足を止めた。 年齢は20代後半だろうか。ウェーブがかった焦げ茶の長髪を肩下あたりまで伸ばしている。遠目から窺う相貌は端麗で、どこか自分の母親を彷彿とさせた。 「…あの、」 立ち止まっていても仕方が無い。意を決して話しかけると、綺麗な二重の瞳がこちらを向く。 「ル……三井さんに、ご用ですか?」 「…ええ。あなたは?」 頭から爪先までざっと眺めた後、女性にしては低く落ち着いた声音で問われた。 「……友達、なんです。もう少しすれば三井さんも来ると思いますけど―――あ、」 噂をすれば到着か、と。響く足音に後ろを向いた。 「…久しぶりね」 俺を通り越した視線が彼女を捉える。ルイさんの顔に浮かんでいたのは紛れもない驚愕。滅多に見ることのないそれに、僅かな胸騒ぎを覚えた。 「なん、で……」 掠れた声が、どれほどの驚きかを示してくれる。双方を見比べて、噛んだ唇。 「あなたに会いたくなったから来たの、――…晄」

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