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動揺しつつ部屋に入って、買い物袋を片付ける。 「…どうぞ」 「ありがとう」 ふわりと微笑む彼女は、どこからどう見ても素敵な大人の女性だ。 ルイさんの前にもコーヒーを置くが、こちらは反応なし。ひたすらに組んだ手元を眺めている。 「ええと…じゃあ自己紹介、するわね。私は佐々木 瑠依(ささき るい)。美容部員として地方を転々としていたんだけど、今回東京に戻って来られたから…晄にも挨拶しておこうと思って」 そこでルイさんに視線を投げると、深いため息をついて立ち上がった。 「…ごめん、芹生くん。今日は帰ってもらえるかな」 「あ……はい」 元よりそうするつもりだったとは言え、先に告げられてしまうと何とも物寂しい。 「じゃあ下まで送って行くわ。車にも忘れ物しちゃったし」 同じく腰を上げた佐々木さんを見やり、何か物言いたげな目をしたルイさん。しかし口を開くことはなく、黙って頷いた。 「…芹生くん、だったかしら?」 エントランスまで下りた時、前を行く彼女が足を止める。

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