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「もうすぐバレンタインか~」 テレビを眺めていた瑠依の弾む口調。俺の生返事に焦れたのか隣へ移動して来る。 「当日も仕事?」 「…多分」 「それなら昼は一緒に過ごせるわね」 嬉しそうに笑う、その表情。 昔なら俺も笑顔を返して、頭を撫でて。それから―――… 「晄?」 「ごめん、聞いてなかった」 彼女は何か言いたげに眉を寄せると、それでも口を噤んだ。しばしの沈黙。 「…ねえ、せっかくだから芹生くんも呼ばない?」 良いことを思いついたと言わんばかりの口調に、思わずそちらを凝視する。彼女は可愛らしく首を傾げたまま。 「それと…ハルくん?まだ仲良くしてるなら彼も誘いましょうよ」 微笑む瑠依が何を考えているのか知りたくもない。面倒になって、ため息を吐いた。 それを了承と捉えたのか張り切る姿を尻目に、黒髪の彼を思い出す。 どんな形であれ、また話せることが嬉しいと。 そう思ってしまう自分は本当に勝手だ。

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