201 / 330

201.

ルイさんと電話をした、翌日。 届いた一通のメールを前に、ただ衝撃を受ける。 バレンタインを一緒に過ごさないか、という誘い。それもルイさんの家で―――佐々木さんを含めた3人。 (もしかして…昨日の、電話……) これを伝えるために掛けてきたのだろうか。だとすると、少し変だ。用事はないと言っていたのに。 (…泣いてたこと、バレたかな) 声が聞きたくて、と柔らかく告げる様子を思い出す。普段とは違う雰囲気を感じ取って咄嗟に嘘をついたのか、それとも単なる気まぐれか。 出来れば前者であって欲しいと、願う。 あくまで希望的観測だというのに逸る心は落ち着きそうにない。 少し迷って、返信画面を立ち上げた。 送信してからベッドに倒れ込む。 「……最後に、する」 このまま傍に居ても、きっと想いは募る一方だ。佐々木さん―――女性、と。仲良く並ぶ姿を見れば少しは勇気が出るだろう。 (今度こそ…) 離れる、勇気が。

ともだちにシェアしよう!