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201.
ルイさんと電話をした、翌日。
届いた一通のメールを前に、ただ衝撃を受ける。
バレンタインを一緒に過ごさないか、という誘い。それもルイさんの家で―――佐々木さんを含めた3人。
(もしかして…昨日の、電話……)
これを伝えるために掛けてきたのだろうか。だとすると、少し変だ。用事はないと言っていたのに。
(…泣いてたこと、バレたかな)
声が聞きたくて、と柔らかく告げる様子を思い出す。普段とは違う雰囲気を感じ取って咄嗟に嘘をついたのか、それとも単なる気まぐれか。
出来れば前者であって欲しいと、願う。
あくまで希望的観測だというのに逸る心は落ち着きそうにない。
少し迷って、返信画面を立ち上げた。
送信してからベッドに倒れ込む。
「……最後に、する」
このまま傍に居ても、きっと想いは募る一方だ。佐々木さん―――女性、と。仲良く並ぶ姿を見れば少しは勇気が出るだろう。
(今度こそ…)
離れる、勇気が。
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