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珍しい人物から連絡があったのは、その数日後。 「…どうも。お久しぶりです」 頭を下げる彼は、細田くん。 記憶よりもずっと良い顔つきになっている。何か身辺に変化があったのだろうか。 「お仕事前に呼び出してすみません。手短に終わらせるんで」 一度手元に落ちた視線が、今度は俺に据えられる。 「…バレンタインのこと、ハルさんから聞きました。で、なんとなく気になって芹生に探り入れたんです」 続く言葉が予想できて、静かに目を伏せた。友達思いの彼が腹を立てるのは当たり前だ。 「………正気ですか」 語気は決して荒くない。それに反して氷点下の声音で叩きつけられる一言は、俺の頭を揺さぶるのに充分だった。 「幸せそうな様子、見るなんて…苦しいに決まってる。でも、あいつは…それでも良い、って……!」 振り絞るように紡がれる事実が、心を抉っていく。歯を食いしばる細田くんの向こうに、黒髪の彼が見えて。 いっその事ここから逃げ出したくなった。 「…あんたは。あいつを…芹生を、どうしたいんですか…?」 困ったように揺れる瞳を受け止めて考える。 芹生くんに何を求めているのか。 自分はどうしたいのか。

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