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212.
カレンダーを見ながら、ふと思い出す。
ルイさんと出会ったのは一年前。ちょうどこの時期だった。
あれから本当に色々あって。
(…待ってても、良いのかな)
ベッドの上で寝返りを打つと、視界を掠めるぬいぐるみ。つぶらな瞳に視線を合わせて考えた。
たくさん傷付けてしまったと、思う。
でも、それと同じくらい。
自分も傷付いていないと言えば嘘になる。
ルイさん越しに見える艶やかな長髪がフラッシュバックして、強く目を瞑った。
ただ無為に時を過ごしていると悪い方に考えが進んでしまい、居てもたってもいられなくてスマホを引き寄せる。
『お久しぶりです。少しお話したいことがあるので、お時間あれば連絡ください』
瑠依さんとは真逆の明るい髪色が脳裏に浮かんで、少し気が楽になった。
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