212 / 330

212.

カレンダーを見ながら、ふと思い出す。 ルイさんと出会ったのは一年前。ちょうどこの時期だった。 あれから本当に色々あって。 (…待ってても、良いのかな) ベッドの上で寝返りを打つと、視界を掠めるぬいぐるみ。つぶらな瞳に視線を合わせて考えた。 たくさん傷付けてしまったと、思う。 でも、それと同じくらい。 自分も傷付いていないと言えば嘘になる。 ルイさん越しに見える艶やかな長髪がフラッシュバックして、強く目を瞑った。 ただ無為に時を過ごしていると悪い方に考えが進んでしまい、居てもたってもいられなくてスマホを引き寄せる。 『お久しぶりです。少しお話したいことがあるので、お時間あれば連絡ください』 瑠依さんとは真逆の明るい髪色が脳裏に浮かんで、少し気が楽になった。

ともだちにシェアしよう!