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217.
「…親不孝者で、ごめん」
素直に頭を下げると、ややあって父親の細いため息が聞こえた。
「全くだ。お前は兄弟の中で一番心配を掛ける…昔から」
付け足された短い懐古。何とも言えない気持ちになる。
「…ウチは健吾がしっかり継いでくれた。好きなように生きなさい」
普段滅多に見ることの出来ない、父親の淡い微笑み。目頭が熱くなって、ただ首を縦に振った。
「相手の方 は…大丈夫なの?」
眉を下げる母親。胸中の彼を認識した途端、たまらなく会いたいと感じる。
「…これからちゃんと話すよ」
「そう……落ち着いたら一緒に遊びにいらっしゃい、とっておきの部屋を空けておくから」
先程よりも柔らかな笑みを見せた彼女に感謝する。続いてここまで黙っていた兄が漸く口を開く気配が。
「まー…なんだ、うん。俺もいい大人だから偏見とかはないし。決めたからにはしっかりやれよ?」
「ありがとう、兄さん」
背中で受ける兄の激励はいつも少し力が強い。思わずお互いに吹き出してしまう。
「ああ…そういえば、淕 はどうしてる?」
「淕…?」
久しぶりに聞く3つ違いの弟の名前。頷く父親は衝撃の事実をいとも簡単に告げた。
「お前と同じ―――歌舞伎町で、ホストになったらしい」
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