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家に来てほしい、というルイさんからのメール。痛いほど早鐘を打つ心臓を宥めながら、日時の約束をした。 ハルさんはああ言っていたけれど、正直彼がどうするかなんて全く読めない。やっぱり離れてほしいだとか、結婚することになったと告げられたら大人しく身を引こうと決意して。 「友達も、辞めてくれって言われたら…」 漏れた呟きは不穏な空気に溶ける。当日までに返事を考えておこうと寝返りを打った。 「こんにちは…お邪魔します」 「…うん、いらっしゃい」 ふわりと微笑むルイさん。久しぶりに顔を見たような気がして、思わず瞬く。目の前に湯気の立つカフェオレが置かれて。 「……もう1年、か」 かじかむ手をじんわり温めてくれるマグカップを離せないでいると、小さく聞こえた呟き。それが意味する所を理解した途端、胸に何かつかえたような苦しさを感じる。 「…今、店で使ってる名前。気付いてるかもしれないけど…瑠依から取ったんだ」 唐突に、そして静かに紡がれる事実を聞かされて、ただ頷くしかなかった。予想通りとはいえ、やはり複雑な気持ちになる。 「瑠依と付き合ってた頃は、なんとなくこのまま結婚しても良いかなと思ってた。彼女が急に居なくなって…落ち込んだけど、探そうとはしなかった」 膝の上に登ってきたミウちゃんを撫でながら、どこか遠い目をするルイさん。 「再会して、また付き合うことになって……でも、昔とは何かが違う。原因はね、考えるまでもなく君だった」 ふ、と戻ってきた焦点が俺に合い、その口端も綺麗に持ち上がる。 「……瑠依とは別れたよ」

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