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「み、つい……さ―――」 半ば放り投げられるようにして、背に感じたのは柔らかいシーツ。本能的に危機を察知すると震えが止まらなくなる身体。 「……彼はそんな人じゃない?隙だらけの君がそれを言う?」 ギシリと軋むスプリングと共に逆光を受ける彼は、俺の知らない顔をしていた。口元を手で覆われて、身を引こうにも逃げ場が見当たらず。 「振り撒いてる、その、魅力。…気付いた方が良い」 近づく瞳は苦悶に揺れて。俺がそんな顔をさせてしまったのかと罪悪感に駆られ、手を伸ばしかけるが。 「っ、……ひ…!」 シャツの裾から割って入る、氷のような指先。ぞわりと立った鳥肌を感じて苛立ったのは彼の方か。 「…したんだろ?そいつとも」 冷えきったその視線。普段とかけ離れた口調で紡がれる刃を叩きつけられて、思わず唇を噛む。一体どれほどの怒りなのか。推し量ってなお余りある。 乱暴に、それこそ食い尽くすかのような口付けを受けながらぎゅっとシーツを握った。 裏切ったことになるのか、それとも既に裏切りですらないのか。考え出すともう訳が分からなくて、自分達の関係性も、気持ちすら見えなくなってしまうような。 ただ、言えるのは。 「ご、め……なさ、い…」 絞り出した細い声が届いたのか、ぴたりと動作を止めた三井さん。恐る恐る窺った表情は今にも泣き出しそうで。 「…俺、は……っ」 何度か口を開きかけて、首を振る。のそりとベッドから降りるその背中をただ見送ることしか出来なかった。

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