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あれから数日。文字通り、涙に暮れる時間を過ごした。 『かーえーでーくん』 「……雅さん」 『あれ、どうしたのその声。風邪?』 突然の電話。 どうしてみんな、こんなにも敏いのだろう。ぐすりと鼻を啜ってまた泣きそうになる。 『今悩んでること、解決出来るかもしれないよ』 「え…?」 『面白い物が手に入ったんだ。僕に会うのが嫌なら、メールで送るけど…どうする?』 少し悩んで、待ち合わせの場所を聞いた。 「…ありゃ、酷い顔だね」 前回と同じ個室。マスクを外した第一声に、思わず俯く。ごめんと頭を撫でる彼はスマホを取り出した。 「これ。最後まで見てくれる?僕ちょっとマスターと話して来るから」 そう言いおいて出て行った雅さん。黒い画面とにらめっこして、結局。写る自分の情けない顔を見ていられずに再生ボタンを押した。 流れ出すのは、ホテルの一室。監視カメラの位置から撮影されたそれは、やがて入ってくる2人を捉えた。 俺と、山田先輩。 あの時はパニック状態で気づかなかったけれど、こうして眺めてみると内装はラブホテルのそれではなく。単なるビジネスホテルだ。安堵しそうになったが、それでもベッドがあり、ホテルには変わりない。このまま何事も無いようにと半ば祈りながら画面を注視する。 「……あっ」 ベッドに直行かと思いきや、そのままユニットバスの方へ。ハラハラしながら見守っていると、やがて戻って来た。 ウエットティッシュのようなもので口元を拭ってくれているあたり、きっと嘔吐してしまったのだろう。ペットボトルの水を飲んだ俺は自ら服を脱ぎ始めた。 「ちょ、っ…」 宥める先輩などお構い無しにどんどん脱いで。頼みの綱である下着はそのままに、大の字で寝転んでしまった。やれやれと言った体の先輩は散らかった服を片付け、そして俺を眺めたあと、自らも服を脱いで隣に寝そべる。 速回しでコマ送りのような映像はそのまま朝になり、俺が飛び起きて頭を抱えるシーンへ。 結局、何もなかった。へなへなと崩れ落ちてしまいそうになって机に突っ伏す。そこへ戻って来た雅さん。

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