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247.
飲み会の日から連絡をしていなかった番号。深呼吸して、発信音を聞く。
『…もしもし』
「今、お時間平気ですか?」
大丈夫だと笑った、山田先輩。何と切り出して良いのか分からず、暫しの沈黙。
『……何も、無かったよ』
「え…?」
『あの日。俺のスーツに吐いて、服を脱ぎ散らかしたお前の横で寝てただけ』
くすりと笑う彼の表情が浮かぶ気がして、途端に申し訳なくなる。迷惑を掛けてしまった。
「すみません…ご迷惑をお掛けして…」
『良いよ。俺も変なこと言ったし』
「……あ」
そういえば。起きた時、意味深な発言で混乱させられたことを思い出す。
『…もう時効って事で良いかな。俺、お前のこと好きだったんだ』
「先輩…」
過去形のそれに、確かな時間の流れを感じて唇を噛む。
『最後ぐらい良い思いさせてもらっても罰当たらないかなーって。寝顔、可愛かった』
「最後…?」
『…ああ、引っ越すんだ。九州の方に』
通話を終えてもしばらく動くことが出来ず。
色々なことが一気に目まぐるしく動き出して。状況証拠は全て揃っている。もし裁判だとしたら、きっと俺は落ち着いて闘えただろう。でも、これは気持ちの問題だから。
理詰めで進められないもどかしさ。
恋をしているな、と思う。
三井さんに連絡したのは、それからだいぶ経ってからだった。
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