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*252.
部屋の電気を調節して、楓くんに向き直る。伏し目がちの瞳に被る睫毛が揺れた。
「…緊張してる?」
「そりゃ、まあ……三井さんは、」
平気そうですね、と見上げられて思わず苦笑い。
ポーカーフェイスを装っている訳ではないのに、そう捉えられてしまうのは不本意だ。
「俺だって、ほら…」
手首を掴んで胸の中央へ。熱を持つ手のひらで、早い鼓動を感じてもらえただろうか。
「…ね?」
「ちょっと……かなり、意外です…」
そのままするりと指を絡めて、近付いた距離。触れるか触れないかの際 で問う。
「好きだよ、楓くん。本当に…平気?」
もっとも、拒否されたとして今更止めてあげられないけれど。呟きは脳内に留め置き、至近距離でぼやける瞳を見つめた。
数秒経って、そっと重ねられた唇。
「その……気持ち良く、なかったら…すみません」
垂れた眉を撫でてもう一度口付ける。そんな心配は無用だと、言葉で伝えるより早く進めてしまおう。
啄むようなキスを繰り返しながら、バスローブが落ちる音を聞いて。剥き出しの薄い肩は想像以上の触り心地だった。
薄暗い部屋に浮かぶ白い肢体は幻想かと思う程に綺麗だ。呟いてしまいそうになるけれど、我慢。そっと腰周りに指を這わせる。
「っ……ふふ、くすぐったい…」
笑う楓くんの身体から力が抜けたのを感じて、そのまま性器に手を伸ばす。途端に硬直する反応をキスで宥めながら指での愛撫を続けた。
「ま、っ……みつ、い…さ…」
合間に途切れる息遣いが例えようもなく色っぽい。少し腫れてしまった唇を舐めてやるとますます潤む瞳。
「…それ……や、です」
震えるため息と共に上目遣いで非難されて。あまりの可愛さにいっそ閉じ込めてしまいたくなる。
「イきそう…?」
噛んだ唇を親指で開かせて、代わりに自分のそれを宛てがった。苦しそうな呼吸が届くこの時間が案外、好きだったりする。
「…一回イっておこうか」
肯定とも否定ともつかない首の振り方をした彼を追い込む。強めに握り込んで、先端をくるくると撫で回せば。
「ぁ…ッ、い、っちゃ……ぅ…!」
抑えようと努める声音が却って艶めかしい。力の籠る腹部を横目に、伸び上がって口を塞いだ。
「ん……っ、む、…ふ…あ、ぁ、……ッ」
「…たくさん出たね」
「い、じ……わる、っ……」
ぱたぱたと手のひらから滴る白濁を見せつければ本格的に拗ねてしまった。ご機嫌取りに口付けを送ると首裏に回る両手。何度唇を重ねても足りない、彼もそう思っていると良い。
「みつい、さん…も、気持ちよく、なって」
細められる双眸が溶け切った、その奥。隠しきれない愛を見つけて、急に気恥ずかしくなる。
「……ありがと、楓くん」
額に唇を寄せながら、優しい彼に受け入れてもらうための準備をするべく指を伸ばした。
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