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261.
これで良い。
そう自分に言い聞かせて、もう何時間経っただろうか。
(…なんで)
あんなに必死な声が届くとは考えてもいなくて、正直面食らった。
まるで、本当に理由が分からないとばかりに紡がれる言葉。
今すぐこの端末で連絡して、全て嘘だったと言ってしまいたい。そう思う程には、好きだった。
けれど、もし演技だとしたら。
(今頃………)
せいせいしているに違いない。
ふ、と息を吐いてベッドに寝転んだ。
[男の喘ぎ声なんて興奮材料にならないでしょ]
見ていないはずの表情を作り出してしまう自分を責めても、もう遅かった。
付き合うという関係において。性行為が全てではないと分かっている。けれど重要な役割を果たしているのも事実だ。
女性と違って面倒な造りの上に、子供も産めない。だとしても自分はあの時間が好きだったし、きっと彼もそうだと思い込んでいた。
俺を抱くことで発散される性欲。その役割も果たせなくなったら、もはや重荷でしかない。
だから、これで良いのだと。
呟いてみても気持ちは沈んだまま。うじうじとした自分だけが前に進めないような状況を嘆いて、寝返りと共に頭から布団をかぶった。
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