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「とりあえず…お疲れ様」 「ん、サンキュ」 渡したマグカップからは僅かに湯気が立ち上っている。それをぼんやり眺めるハルはどこか魂の抜けたような雰囲気で。 「…二人して不調、か」 「うん?」 「いや、こっちの話。それで…どうしたの?」 何度か口を開いては閉じ。やがて小さく紡がれる事実は。 「……細田、に。告白…され、た」 「えっ…おめでとう、…?」 何故か浮かない顔の友人を前にして、祝福も疑問形へと形を変える。首を傾げた俺をちらりと見やって、コーヒーを啜るハル。 「…色々と思うところがあってさ。まあ俺よりお前の方が酷い顔してるし、話聞いてやるよ」 で?とマグカップを置いた彼に苦笑いを送り。 「………別れようって、言われた」 口に出せばまたズキズキと痛み出すのは何処だろう。目の前にある顔が見られない。 「そりゃまた……喧嘩?」 静かな問いに曖昧な否定を返して、あの朝のことを話した。 信じられない、と。俺の何が彼にそう思わせてしまったのか。理由が分からないだけで、こんなにも歯がゆいなんて。 「ふうん…なるほどな」 ひとつ頷いたハルは、それ以上何も口にしなかった。

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