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余裕の表情を浮かべる三井さん。場数の違いをまざまざと突きつけられたようで、単純に悔しい。 …と、思ったけれど。 「あの……」 「うん?」 「…えっと、これ」 先ほどからどうにも下肢に違和感が。不自然に膨らんだ股間と明らかに反応を示す雄を指摘すれば、余裕の仮面も剥がれるはず。 「ああ……楓くんが可愛いから、つい」 「っ…も、う…」 さらりと告げられた褒め言葉。今まで言われ慣れてないせいか、堪らなく恥ずかしい。結局こちらが崩れる羽目になって、唇を噛んだ。 どうすれば勝てるのか。 不意に閃いた、それは。 「…て、ことだから。そろそろ降りて―――」 「三井さん」 押し上げる塊にするすると指を這わせながら、決意する。ほんの僅か、息を詰めた彼。 「何…?」 「……しても、いいですか」 「えっ」 固まってしまった様子を少し面白く思いながら、あと一押しだと迫る。 「…その……舐め、たい…です」 告げた瞬間、明らかに硬度を増したその膨らみに軽く悲鳴を上げる。予想以上の反応に戸惑うことしきりだ。 「い、や、…そんな、させられない、よ」 膝から下ろそうと伸ばされる腕。同時に漏れた細いため息を寂しく感じたのが声にも表れて。 「…フェラ、されるの…嫌いです、か?」 勝ちたいという思いは途中から消えていた。 まだ数回しか身体を重ねたことはないが、その度に俺を気遣ってくれているのがありありと分かる抱き方。ただ純粋に、何かしてあげたいという気持ちの方が強くて。 「……無理だと思ったら、すぐ言うこと」 しゅんとした空気が伝わったのか、困ったように眉を下げて笑う三井さん。固く約束させられて、今更ながらドキドキと脈打つ心臓に気付いた。

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