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電話もメールも、メッセージアプリも。全てにおいて連絡がつかない状況で5日が過ぎた。 少し震える字で"返します"とだけ書かれた紙と、誕生日に贈ったネックレス。 帰宅した俺を出迎えたのはいつもの笑顔ではなく、冷たいそれだった。 「……いったい、」 何があった――否、何をしたと言うのだろう。皆目検討もつかない。付き合い出してからは比較的順調だと思っていたのは俺だけで、楓くんには我慢をさせていたということか。 それならば、もう以前のように戻ることは難しい。気持ちが無い相手を仕事で縛り付けるのは、さすがに人としてどうかと思う。本音を言えばそうしたいところではあるけれど。 悩む俺に届いたメール。これだけ心配させておきながら事務連絡さながらの文面に、ああ本当にと実感する。 本当に、もう自分には気が無いのだ。 一応の返事として送ったメールがエラーで返ってくることが一番の答え。 明日の研修は元々休み。そして明後日からは出勤する。ということは。 (…明日、か) 研修に必要な着替えや道具を取りに来るとすれば、きっと。明日の日中だ。 予定を全てキャンセルするべくスマホを手に取った。 そうして、次の日。 部屋の電気を全て消して、薄暗いキッチンの隅で待つ。 ―――カチャ 静寂に響く解錠音。現れたのは、果たして楓くんだった。 久しぶりに見るその華奢な背中を、どれほど焦がれたか。締め付けられるような胸の痛みをやりすごして、深呼吸する。

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