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気持ちよかった?

「っ、んぅ……」  急にそんなことをしたら、また逃げ腰になるかな、なんて思ってたけど、違った。  まるでお互いを愛し合う恋人同士みたいな口付けに、テツヤさんはちゃんと応えてくれる。  舌先がちろちろと触れ合い、かぶりつく。  何度も角度を変えて、唾液が溢れてくるような濃厚なキス。  彼は、雰囲気や空気に流されやすいのかも知れない。 「っん、ふ……」 「かわい。テツヤさん……」 「っ、あふ、ぅ、ん……ほめ言葉に、ならねぇって……っんぅッ」  あー、もう、なんだろう、久々にきゅんきゅんする。  その台詞はノンケらしくもあり、男のくだらないプライドの顕れであるくせに、同性で年下の俺にいいようにされてる事実が違和感を生んで、滑稽だ。  まあ彼は俺が年下だなんて知らないけど、もし知ってたらもっと意地を張られたかも。それはそれで見てみたかった。 「……ほんとはもうちょっと楽しみたいけど……」 「ふ……?」 「そろそろ次の準備しなきゃ。腸内洗浄は自分で出来る? シャワー浴びてきてほしいんだけど」 「ぁ……、」  とろんとした瞳のなかに、理性の光りがよみがえる。  キスに没頭していたことを恥じらうように、彼は心なしか頬を紅潮させ、明らかに俺から目を逸らした。  はは、ほんと可愛いわ、この反応。  思いながらも口には出さず、もちろん彼の気恥ずかしさにも気付かないふりをして、ぎこちなく首を縦に振ったテツヤさんにイチジク浣腸を渡し、浴室に行くよう促す。  下半身を丸出しにしたまま、よたよたと覚束ない足取りでシャワー室に向かう後ろ姿を名残惜しくも見送ったところで、多少俺も気を張っていたのか、一気に脱力した。

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