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カメラ君
────……
「今日はいつもよりねちっこくないですか、責め方」
ぼふん、とうつ伏せでベッドに寝そべっていた俺に、簡易なビデオカメラの容量を見ていたカメラ君が、呆れたようにも嘲るようにも見える顔で言う。
声は落ち着いているから、もしかしたら単に無心なのかも。
「だって可愛かったんだもん。ゆっくりねっちょり慣らしてあげたいじゃん?」
「そのわりには意外と唐突に手を離すんですね。あの人、びっくりした顔してましたよ」
「引き際が肝心なんだよ、何事にも。そのほうが良くも悪くも、気になって仕方なくなる。俺のこととか、この先の行為とか」
「……あなたのこと最高に質が悪いといつも思ってますけど、彼にそこまで固執する理由も、俺には理解出来ないです」
──なにそれ、さりげなく貶してる?
言えば、『いっそ通り越して感心してます』と、無表情だか何だか分からない顔で言われた。
こういう他人に興味のない子、楽で面白いから、俺がスカウト担当の時はよく撮影をお願いしてたりする。
「損だねー、その性癖。俺が開発してあげようか? 鳴かせてみたいし、君の無表情」
「勘弁して下さいよ、ほんと」
シーツから顔を上げて言った俺の台詞に、カメラ君は肩を竦めて苦笑した。
俺、追いかけられるより追いかけるほうが燃える質だからか、テツヤさんみたいなプライドが邪魔して素直になれない人とか、そもそも俺に対して全く無関心なカメラ君みたいなタイプも好きだ。
こういった仕事をしてると、周りはゲイかおネエさましかいないせいで、皆本能のままに気に入った相手にアプローチ出来る。だから、たぶん尚更。
言い寄られることに慣れてしまって、そういった人には魅力を感じない。
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