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無言の肯定

───…… 『──ぁっ、あん! ぁあん゙っ、だめぇッ、も、イく、イっちゃう……っ!』 「……す、いません」 「気に入らなかった? うちの新作なんだけど。好みじゃないなら溺愛ものとかレイプものもあるし、男女のやつもあるけど、どうする?」 「……いや、その」  浮かないテツヤさんの顔。  白いシーツに溶け込んでしまいそうな、新品のバスローブ。  テレビのスピーカーから響く、中性的な男の悩ましい嬌声。  ベッドの上に放置されたボクサーパンツ。  眩しいくらい真っ白なバスローブから伸びた足は、小麦色で筋肉質なのに、ほっそりとしていて綺麗だ。  意外と体毛が薄くて引き締まったふくらはぎ、そして思った以上に柔らかそうな太ももから視線を上にずらしていくと、着崩れた合わせから、どんなに擦っても萎えたままだったテツヤさん自身が見える。 ──勃たなかった、のだ。  ノンケにはよくある。 「もう無理、って顔だね」 「悪い……、俺、どうしたら……」  一応責任感のようなものはあるらしい。  男を相手に、それも複数の人前とカメラの前で、慣れない服着てオナニーなんて、精神的にナイーブな人には緊張感のほうが勝るから、なかなか厳しいんだ。  さっき触った時の反応からしてほとんど男は初体験だろうし、ハナから期待もしてなかったから、まあ、これで怒ったり呆れたりはしない。  むしろ俺の思惑どおりで、内心ほくそ笑んだ。 「ねぇ、テツヤさん」  ぎし、とベッドが軋む。  カメラ君よりも遠いところから彼の自慰行為を見守っていた俺だけど、手を伸ばせばすぐに届くくらい近くに寄っていく。  テツヤさんは縋るように、ベッドに乗り上げた俺を見つめる。  今までの『やめてほしい顔』じゃない、ただ義務を全うしようと、手助けがほしいと困惑する表情。  深い緑の作業着に白いタオル姿も男らしくて素敵だったけど、全裸にバスローブ姿がなんとも不似合いで不慣れっぽくて、これはこれで全然アリ。 「俺が、触ってもいいの?」 「……」  その無言は、肯定だ。

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